車に搭載される機能として、Gベクタリングコントロールプラスという機能があります。あまり聞き慣れない言葉ですが、いったいどういう機能なのでしょうか?
ここではGベクタリングコントロールの仕組みをはじめ、搭載車や雪道での走り、車酔いとの関係などについて紹介します。どのような機能なのかを理解できれば、車選びの参考にもなるでしょう。
Gベクタリングコントロールとは?
仕組みを知る前に、まずはGベクタリングコントロールプラスとはなんなのかを見ておきましょう。マツダが開発した機能で、コーナリングを中心に走行中、車の挙動を安定させるために作られました。
元々はGベクタリングコントロールという名称の機能でしたが、Gベクタリングコントロールプラスはその進化形です。GVCとも呼ばれています。本来、車は車種に関わらず、カーブを曲がったり、速度を上げたり下げたりすると、荷重が移動し、さまざまな状態になります。
ドライバーはそれを察知し、適切にハンドリングしたり、アクセルやブレーキを踏むのですが、Gベクタリングコントロールプラスが搭載されている車だと、コンピューターが自動的に車の制御をある程度行ってくれるのです。Gベクタリングコントロールプラスが搭載されていることで期待できる効果は以下の通りです。
★細かいハンドル操作を減らせる
★車の挙動が安定することで体にかかる負担が軽減される
★タイヤが適切に接地することで安定感が増す
主に以上のような点がGベクタリングコントロールに期待できる効果で、特徴でもあります。非常に便利な機能なわけですが、いったいどういう仕組みで動いているのでしょうか?
Gベクタリングコントロールの仕組みを詳しく解説
車というのは走行中、常にタイヤに荷重がかかっていて、荷重に応じてさまざまな状態になっています。たとえばカーブを曲がる時は外側のタイヤに荷重がかかり、車も外側が沈み込むような状態になります。
通常ならこの状態の変化をドライバーが感じて、ハンドル操作やブレーキを踏んだりアクセルを踏んだりすることで調整をするのですが、Gベクタリングコントロールはこうした調整を自動で行ってくれるわけです。
その仕組みは車の状態に合わせて自動でエンジントルクを変化させることにあります。エンジントルク、つまりエンジンのパワーを自動的に調整し、タイヤにかかる荷重を調整して常に安定感のある走りを実現してくれるのです。
エンジントルクの調整は、ステアリングの状態と、現在の速度から計算されていて、その状況に最適なエンジントルクを瞬時に割り出し車に命令をする形です。コンピューターが自動で安定性を高めてくれるため、ドライバーが行う操作が減り、より快適に走行できるようになります。
Gベクタリングコントロールはどんな車に搭載されている?
Gベクタリングコントロールはマツダが開発した技術のため、Gベクタリングコントロールの搭載車もマツダ車に限定されます。
今後この技術が他社でも利用される可能性はありますが、少なくとも現状ではマツダの車にのみ搭載されている機能です。マツダ車に乗ろうと考えているなら、Gベクタリングコントロールが搭載されているかをチェックしてみるのもいいかもしれません。
現在、Gベクタリングコントロール、もしくはGベクタリングコントロールプラスが搭載されているマツダ車は以下の通りです。
★CX-8
★デミオ
★CX-3
★アクセラ
★CX-5
★アテンザ
これら6車種にはGベクタリングコントロールが搭載されていて、CX-8とCX-5には進化形であるGベクタリングコントロールプラスが搭載されています。
これまでよりもさらに快適に走行できるようになっていますので、快適性や安全性を求めるなら優れた車種になるでしょう。現在ではマツダの中でも1部の車にしか搭載されていませんが、今後はGベクタリングコントロールの搭載車がさらに増えることも予想されます。
そうなれば車選びの幅もさらに広がり、それでいて高性能な車に乗れると、ドライバーにとってはメリットがさらに大きくなるかもしれません。
Gベクタリングコントロールは雪道にも強い?
自動でエンジントルクを調整し、常に安定感のある走りを実現してくれるGベクタリングコントロールは、雪道でその真価を発揮すると考えられます。
雪の多い地域にお住まいの方にとって、冬の車の運転は危険も多く非常に疲れるものですが、Gベクタリングコントロールの力を借りることで負担を最小限に抑えられる可能性があります。雪道は道路の上に雪が積もることで運転しにくくなります。
轍ができていたり、雪が凍って固くなっていたり、路面が滑るなどするため、いつも以上にハンドル操作も増えますし、微妙な速度調整が求められます。
直線をまっすぐ走るだけでも頻繁にハンドル操作をする必要があるのですが、Gベクタリングコントロールが作動することでハンドル操作を最小限に抑えられるわけです。Gベクタリングコントロールはその仕組みによって、雪道を走っている時でもエンジントルクを瞬時に調整し、無駄なハンドル操作を抑えてくれます。
コーナリングでも同様にエンジントルクを調整してくれますから、ドライバーが行うハンドル操作は最小限で済むのです。
Gベクタリングコントロールは雪道でこそ輝く機能と言えるでしょう。実際、雪のない道だとそもそも安定した走りがしやすいので、Gベクタリングコントロールの実力を感じ取れないドライバーもいるようですが、雪道ではその効果をはっきり感じられたという声も少なくありません。
Gベクタリングコントロールは搭載されている車なら常に動いていますので、意識しなくても快適で安定感のある走りをさせてくれます。
Gベクタリングコントロールで車酔いは軽減されるのか?
個人差があるものの、車に乗ると酔ってしまうという人も多くいます。車酔いしやすい人にとっては長距離の車移動はとても大変で、酔い止めを飲んだり、車酔いしないようにさまざまな対策を講じている人も少なくないでしょう。
そもそもなぜ車酔いを起こしてしまうのかというと車の揺れが大きな原因です。車に乗っているとカーブを曲がった時など、車が大きく揺れることも珍しくないのですが、この揺れによって三半規管が刺激されます。
三半規管が刺激を受け続けると自律神経のバランスが崩れてしまい、やがてめまいや吐き気といった車酔いの症状が出るわけです。
ちなみに車酔いは目で見るという視覚的な情報が大きく影響していると言われていて、ドライバーが車酔いしないことも視覚的な情報が関係していると考えられています。ドライバーは自分で運転しているので、車がどう揺れるとか、車がどのくらい加速したり減速したりするかを予測できます。
そのため揺れにも対応しやすく、車酔いしにくいという考え方です。一方で同乗者は他人が運転している車に乗っているので、車が急に揺れたりすることで、目で見ている景色も不規則に揺れます。結果的に三半規管に受ける刺激が大きくなり、自律神経のバランスも崩しやすいのでしょう。
Gベクタリングコントロールはここまで紹介してきたように車の安定性を向上させ、揺れを少なくしてくれます。揺れることが少なくなることで、車酔いを軽減させる効果も期待できると考えられます。同乗者にとってもありがたい機能となるでしょう。
Gベクタリングコントロールは、車の安定性を向上させ、快適な走行を実現してくれる優れた機能です。マツダ車の1部にだけ搭載されている機能ではありますが、より快適な走行を楽しみたい人にとっては非常に魅力的な機能となるはずです。