車装備パーツの呼び名に、EPSという名称があります。これは、いったい何のことを指しているのでしょうか?EPSという省略語を分解していくと、Electric Power Steeringの頭文字からきています。
では、このEPSという車の運転に深く寄与する装備とは、どの様な機構なのでしょうか?ここでは、EPSのアレコレについて解説してみます。
EPSという名称とは?車の運転に寄与する装備だった!
車のEPSと聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?「なんだろう?」と思う方も多いと思います。ここではEPS=電動パワーステアリングについて解説します。
EPS=(電動パワーステアリング)
EPSは、Electric Power Steeringの頭文字からきています。この英文字を見れば皆さんも予想が付くと思います。近年では、パワーステアリングといえば電動式が主流になりつつあります。
電動パワーステアリングは、モーターの力を利用してステアリングの操作を補助する装置です。車速やトルクをEPS用のCPUが判断し、制御しながら補助する仕組みが多いといえます。
パワステがない時代には?
PS(パワステ)がない時代では、軽自動車規格でも女性がハンドル操作するのが非常に大変でした。地面に設置しているエンジンの大きさ(重さ)やタイヤの接地圧が、直にステアリング操作に影響するからです。
筆者もS30Z(240Z)に乗っていたときは、6気筒エンジンの重ステ(パワステなし)でかなり苦労しました。特に停止状態からハンドルを切るときなどは、「よっこらせ!」という状況でした。女性では、かなり厳しいと感じます。
EPSという名称とは?PS(パワステ)の種類とメリット・デメリット
重ステの時代から、油圧式パワステ(PS)の時代があり、現在ではEPSが主流になりつつあります。一世代前の油圧式パワステのメリット・デメリットやEPSでのメリット・デメリットには、どのようなものがあるのでしょう。
油圧式パワーステアリングのメリット・デメリット
油圧式パワーステアリングのメリットとしては、装置としてかなり熟成されている点です。ステアリング操作が滑らかで、かつ必要なステアリング応答力もあることがメリットでしょう。
デメリットとしては、油圧を作動させるためにエンジンの回転を利用している点です。当然エンジン負荷がかかり燃費ダウンの要因となってしまいます。
EPSのメリット・デメリット
EPSのメリットとしては、油圧式とは違いエンジンの回転を利用しない点といえます。EPS開発の基となった考えも、「どうやったら燃費が良くなるのか?」という観点からです。電気とモーターで稼働するEPSは、燃費を左右しづらい装置であるといえます。
では、デメリットはないのでしょうか?EPSは、センサーなどを介してモーターを稼働制御しています。そのため故障すると、油圧式よりも少し複雑な修理になるケースが多くなります。ただし近年のモデルでは、OBDⅡ診断で異常項目として発見できるので、原因が特定しやすくなっています。
またEPSの進化は、ようやく成熟の域に達した状況であると感じます。油圧式よりも応答性能が悪い車もあることがデメリットとして挙げられます。
EPSという名称とは?EPSの種類は?
引用:東洋経済
EPSには、いくつかの種類があります。ここでは、その種類について解説します。基本的な考え方は、EPSがステアリング機構のどこに組み込まれるかで方式が変わると思ってよいでしょう。
コラムタイプEPS
ステアリングからステアリングコラムにつながっています。このステアリングコラムのところにEPSが付いている構造をコラムタイプEPSといっています。
現在では、このコラムタイプが主流になりつつあります。理由としては、コラムタイプにすれば、車内にすべての装置を設置できるので、防水処理が要らないという点です。またステアリングコラムに取り付けすることから、構造も比較的簡単であることや配線なども車内での取り回しが可能となり、安価で製造できることからです。
ピニオンタイプEPS
引用:東洋経済
ピニオンタイプEPSは、ステアリングコラムから先にある一般的にはエンジンルーム下部に設置されているラック&ピニオンのピニオン側に設置されているEPSのことを指します。
ラックタイプEPS
ラックタイプは、ラック&ピニオンのラック側にEPSを取り付けたものです。本来ステアリングをアシストする装置は、なるべくタイヤに近い所で行うことが理想とされているからです。それは、アシストを伝える力が少なく済むからといえます。
さらに排気量が大きくなり重量が重くなる車では、アシスト力も大きく必要となるので、ピニオンタイプやラックタイプの方が良いとされています。
コラムタイプEPSは、当初軽自動車などで多く普及したのも、アシスト力が少なくて済むからでした。近年では、EPSの開発が進み、重たい大型車でもコラムタイプEPSが装備されるようになりました。
さいごに・・・
EPSは、現在の車では重要不可欠な装備であるといえます。そしてEPSになってから、燃費向上にも寄与しているでしょう。EPSは、運転に必要な装備であり環境に役立つ装備でもあるといえます。